宮崎_1/青島
しばらく前になるけど台風5号が最接近した週末のこと。本当は夜のうちに家を出て、朝早くから山に登り、下山後はどこかキャンプ場でテントでも張って寝ようかと考えていた。
台風の運んできた強風と共にその計画は無常にも吹き飛んでしまったのだけど、せっかくの土日を家で過ごして無為に週末を終えるのだけはどうしても嫌だった。山でなくても、テント泊でなくても、いっそ日帰りでもいいから遠くに行って、そして写真が撮りたかった。
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そんなわけで何度チェックしても予報が雨なのは承知の上で、とりあえず出掛けてみようと思いダメ元で自宅を出発した。朝早くのような気もするし夜遅くとも言えるような時間、この時間帯に車の運転をするのが結構好きで、高速道路もいいけど一般道だと尚いい。
最近は紙媒体のものを見ることがなくなってしまい、趣がないと思いつつもやはり便利なスマホでおおよその地図を確認し、知らない夜の道を走り続ける。
田舎なりに明るい市街地を抜けて街灯も民家もない山道に入り、正しい道を進んでいるのか若干不安になってきたところで遠くにポツンとコンビニの灯りが見えた時の安心感が堪らない。いい歳をして何をしてるんだという感じではあるけど好きなものは好きなんだから仕方がない。
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そんな安堵と不安を繰り返し、いくつかの街と山を超えてやってきたのは宮崎県宮崎市の青島。思いつきと勢いで家を出て、ほとんどプランも何もない状態で到着してしまった。市営の駐車場に車を停めるもまだ辺りはうす暗い、風も強い。けれど幸いにも雨は降っていない。
以前青島に来たのはたしか小学生の頃だったはずなので、もう20年ぶり程度になる。ということは当時は20世紀だったのか…などとよく分からない感慨のようなものに浸りながらも前回の記憶は残っていない。“鬼の洗濯岩”が有名というのは知っているけどこの日のこの時間帯はまさかの満潮、しかも大潮に加え台風の影響もあって結構な波の高さ、とにかく条件は最悪。
JR青島駅周辺の町並みも覚えてはいないのでなんとも言えないけれど、観光地にしては閉店している店も目立ち寂れている気がする。時間帯や天気のせいもあって余計にそう感じてしまうのかもしれない。
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とりあえず駐車場から防風林(防砂林?)を抜けて海岸へ出てみるとこんな天候なのにサーフィンをしている人が何人かいる。マリンスポーツとはこれまでも、きっとこれからも無縁だと思うので詳しくは分からないけれど、この場合は波が高い方がむしろいいのだろうか。
そんなサーファー達を眺めつつ、海岸沿いを歩きながら写真を撮る。青島まで渡ってみようかと考えたけど遠くからでも分かる波の高さに心が萎える。いくらカメラとレンズが防塵防滴だとはいえ、海水はよくない。というのを建前に島自体には近づかないことにする。
さて、それではどうするか。
朝が早いのでまだどこの店も開いていない。撮影スポット的な場所も調べていない。…撮るものに困った時は寺院仏閣か漁港というのが私の定石。他に何か案があるわけでもないので、ここでも例に漏れず定番のスタイルに従うことにする。