『SNAPS ITALIA 2010-2017』
珍しく写真集を買った。写真家の高橋俊充さんが2010年から2017年の間にイタリアで撮影した写真を1冊の本にまとめたもの。
制作において印刷には特にこだわったとのことで、PCのモニタで鑑賞する写真とは違った美しさがある。私自身撮った写真はHDDに保存したままというのがほとんどなので、こんな時ばかり調子がいいことを言うようだけれどプリントした写真はやはり独特の雰囲気を感じられていいと思う。
この写真集、イタリアと言ってもよく見るような美しい風景や街並みと言うより、街は街でももっと日常寄りの、タイトルにもあるようにスナップ的な写真がほとんど。だからこそいい意味で生活感があり、そういう写真が好きな人は特に楽しめると思う。
写真の1枚1枚に撮影データなどは記載されていない。一応巻末にひっそりと使用機材が書かれていて、カメラはライカと富士フイルム、レンズは単焦点のみでそのほとんどが標準域であるとのこと。
✳ ✳ ✳
写真というのはやはり撮れたその写真こそが全てだ。と、改めてそう感じる。センサーのサイズも高感度耐性もレンズの解像度も大事だけれど、そしてそれらの点においてライカや富士より優れたカメラなら他にもあるけれど、しかしそれらを使ったからといって誰もがここまで情緒のある写真を撮れるようになるわけではない。
いい写真をいい写真たらしめるものは何か。ということを考えた時に何で撮ったかということはさほど大事ではなく、何を撮ったか、どう撮ったか、そして何が撮れたかということの方がよほど重要に違いない。