Lyrical foto

主に写真のことを徒然と

滝を撮る

その昔、一眼レフを手に入れて最初にハマったのが滝や渓谷の撮影だった。スローシャッターで撮る、人の肉眼で見ることのできない世界が幻想的に思えて近くの滝を調べてよく撮影に出かけた。

それがいつの間にか「三脚?フィルター?面倒くせぇ…」という怠惰極まりない考えを抱くようになってしまい、最近ではそういう滝や渓谷の撮影はほとんどしなくなっていた。

しかしそんな私がどういうわけか超久々に滝を撮る気になった。そしてどうせ撮るなら綺麗な滝を撮ってやろう。ということで久々に三脚とフィルターを準備して滝に行くことに。三脚は大丈夫だったけれど久々過ぎて行方の分からなくなったフィルターをかなりの時間探したことはここだけの話。

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今回目指す滝の名は雄川の滝。鹿児島県の大隅半島のどちらかというと南側にある、まず車での移動が大変なことに加えて駐車場から滝まで1km超の遊歩道を歩かないといけないという撮影までが大変な滝だ。

ここに訪れるのは今回で3回目。最初は雨、2回目は水量が多過ぎて思うように撮れず。さて今回は果たして…。

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FUJIFILM X-Pro2 / FUJINON XF35mm F1.4 R

今回も早朝というか深夜に家を出て、朝一で駐車場に到着。普通の観光客からすれば三脚立てて写真を撮ってる奴なんて邪魔なだけだし、写真を撮る側からしても観光客が多い中で写真を撮るのは結構大変。なのでこちら側でできる一番簡単で確実な方法は人がいないであろう時間帯を選ぶこと。

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FUJIFILM X-Pro2 / FUJINON XF35mm F1.4 R

ということで案の定この日の一番乗りは私だった。滝の水量は多くもなく少なくもない、濁りもなくコンディション的にはなかなか良好。駐車場からよく整備された遊歩道を黙々と歩き無事滝へ到着、早速撮影を開始した。

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FUJIFILM X-Pro2 / FUJINON XF35mm F1.4 R

撮影者である私の、自分の中だけでの最近のこだわりはRAWでの現像作業が不要なようにJPEGで丁寧に撮影すること。ホワイトバランスはもちろんカメラで設定できる項目は極力撮影時に確実に合わせるようにする。ということで今回も全てJPEG撮って出し。

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FUJIFILM X-Pro2 / FUJINON XF90mm F2 R LM WR

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FUJIFILM X-Pro2 / FUJINON XF35mm F1.4 R

水量的にはもう少しあってもいいかと思うけれど、それでも十分期待通りの綺麗な姿を見せてくれたので満足。この滝は本当に素晴らしい。欲を言えばもう少し簡単に来られたらもっと素晴らしい。

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ちなみに今回、遊歩道を歩き滝へ到着すると以前来た時にはなかった立派な展望台が完成していた。それはいいのだけど、その影響か展望台より先へ進んで滝へ近付くことが禁止されていた。以前来た時は良くも悪くもそういった制限はなかったので滝の近くで遊んでる観光客も結構いた。

滝に限った話ではないけれど、観光地化が進んでそれに伴い整備が整ってくると、まず元の景観が失われることがある。そして今回のように立入禁止箇所が設けられたり、場合によっては入場料や開園時間のようなものが定められたりすることがある。

個人的には好きな時間に好きな場所から撮らせてもらえた以前の方がありがたいけど、安全や自然の保護等を考えればこういった制限も仕方ないのだろう。そんなわけで今回は大人しく展望台から撮影した。自由度はないけれどそれでも以前とは違った構図で撮れたのでよしとする。

ひと通り撮影を終えた頃、丁度本日一人目の観光客が訪れた。挨拶だけして自分は立ち去る。雄大な景色を前に一人で静かに撮影のできるのなら風景写真もいいものだと来た道を帰りながら思った。